“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第634回
燗酒はブームではなく伝統への回帰

最初に宣伝を少し。
昨日発売の「ダカーポ」誌に
「進化する日本酒」特集が掲載されている。
その冒頭が私の取材記事
「工学博士が語る日本酒が旨い理由」。
紙面スペースの関係から
取材記事では、いいたいことの数割しか伝わらないように
まとめられてしまうこともあるが、
今回はとても要領よく、
伝えたいことが全てまとめられている。

宝酒造(松竹梅)の協賛記事というので、
最初は取材を断ったのだが、
スポンサー以外の蔵の紹介をしても
一向に構わないということだったので、引き受けた。
日本酒に興味のある方はぜひ読んでいただきたい。
また、どういうわけか、
その特集の直前の記事が邱永漢さんの株についての取材。
全くの偶然だ。

さて、その日本酒が、
昨年の秋ごろからよく雑誌の特集記事にとりあげられている。
私が取材を受けたものだけでも、
サンデー毎日、週刊現代、助六、
そして、今回のダカーポと
いずれも燗酒が主体となった特集となっている。

今回のダカーポだが、
ちょっと気になったのは、
特集の副題が「トレンドは淡麗から濃醇へ」となっていた点。
日本酒業界でも、
純米無濾過生原酒が一時の流行だと、
発言している酒屋などもある。
また、多くの蔵は流行に遅れてはと、
純米無濾過生原酒を市場に出し始めている。
しかしそれらのほとんどは、
これまで、濾過をして火入れ、加水をしていた純米酒を、
その工程を省いているだけ。
純米無濾過生原酒は「すっぴん」の酒であるが、
その化粧をしないことで酒質がもろに出てくる。
それだから、完全発酵を目指して、
手間隙かけた造りがされていないと、
ただの濃くて飲みにくい酒になってしまう。

まずは、昔ながらの手間隙かけた造りに戻すということが
前提条件となる。
そして、そのように作った日本酒は燗に向く。
これは、流行ではなく、
昔の伝統に戻すということに他ならない。


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2007年2月8日(木)

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