|  第591回三浦大根の季節到来
 12月の寒風が吹くころになると三浦大根が美味しくなる。現在三浦大根を作っている農家は、
 本家の三浦半島でも極僅かだ。
 なぜなら、青首大根に比べて育てにくく、
 流通にも乗せにくいから。
 私の知っている限り、
 三浦半島で商売として三浦大根を栽培しているのは、
 高梨一家がやっている「たかいく農園」だけだ。
 11月の初めに訪問して、息子さんの高梨清さんに話を聴いてきた。
 まず、三浦大根が絶滅寸前なのは、
 台風に弱いという性質があげられる。
 せっかく育ててきても、
 台風が来てしまって全滅する可能性があり、
 それから種を蒔いても気候の変化に間に合わなくなってしまう。
 三浦半島は専業農家が多いので、
 1年間の収入が一気に減ることになってしまう。
 また、根の部分も葉の部分も大きくて、
 消費者は買いにくく、店舗も置くのにスペースが必要だ。
 しかも、身が柔らかくて、運送中に割れる可能性も高い。
 それで、商売を考えると安定した青首に代わってしまったわけだ。
 「たかいく農園」では、青首大根も同時に栽培している。三浦大根は全体の3割ほどで、他の野菜も栽培している。
 高梨さんは、肥料をやりすぎないことがうまく育てるこつという。
 肥料を青首大根と同じにたくさんやってしまうと、
 身が柔らかくなりすぎて病気にかかる可能性が高くなる。
 肥料を少なくしてもどんどん育って美味しくなるそうだ。
 種蒔は8月下旬、9月上旬、9月下旬と三度。
 出荷時季が長くなるような配慮だ。
 その三浦大根だが、11月に開催した「世界一旨い日本酒の会」で
 取り寄せて作った風呂吹きは
 とても甘みがでていて美味しかった。
 しかし、まだ本物ではないという。
 三浦大根は寒風を受けて、身が糖分を出すようになる。
 これからが、三浦大根の本当に美味しい時季。
 スティックで生のものを食べても旨いし、鍋に使っても絶品だ。
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