“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第557回
蝦夷鹿に天然茸も絶品

天麩羅の後は牡蠣のステーキ。
焼き牡蠣とどう違うかというと、バターで炒めてある。
このバターとの組み合わせもとてもいい。
きっとガーリックを加えても旨いだろうが、
素材の味を出すにはシンプルなほうがいい。

そして、ここらへんで、
もう一度生牡蠣を食べようという話がでる。
しかし、他のメンバーとは同調せずに、
生牡蠣ではなく牡蠣フライを選択した。
牡蠣フライもすごい美味しさ。
銀座煉瓦亭の牡蠣フライも旨いが、
ここの牡蠣フライを食べてしまうと、
あれはなんだったのだろうかと感じるようになる。
やはり素材の違い。

ここで、蝦夷鹿のステーキが提供される。
切り口が綺麗な赤みが見えていて、いかにも旨そうだ。
一番端の一切れを箸でつまんで口にいれる。
牡蠣を食べ続けた口の中に香ばしい肉の香りが心地よい。
一噛みすると、ジュっと口のなかに肉汁があふれてくる。
最近の蝦夷鹿は、里に降りてきていて、
人間の生活圏のものを食べるようになったせいか、
野趣味が感じられないことが多かったが、
この鹿は十分な味わいがある。

北の幸の饗宴も最後に近づき、天然茸の3種類が提供される。
「ぼりぼり茸」「落葉茸」は
2年前にこの店で初めて食べて感動した茸。
「ぼりぼり」のほうはナメコのような
ヌル、ムチっとした食感で、
おろしの爽やかさと合わせて美味しくいただける。
「落葉」は固めの食感で独特の味わい。
黒帯「悠々」との相性もいい。
「天然舞茸」も至福の味。
ここまで、食べてきて相当腹いっぱいになってきた。

しかし、最後の牡蠣蕎麦も愉しみ。
これは温かい蕎麦。
そして、牡蠣トロロ蕎麦という冷たい蕎麦もある。
温かいほうを所望。
これが、牡蠣の旨みが汁に十分溶け出ていて、
そこに浸る蕎麦の香りと渾然いったい。
札幌の夜の最後を飾るにふさわしい蕎麦であった。
女将さん、ご主人とも旧交を温めて、
店をあとに、一同多いに満足した牡蠣尽くしであった。


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2006年10月17日(火)

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