“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第509回
阿佐ヶ谷バードランドを初訪問

先日、中野にある家庭中国料理の店が評判なので訪問したら、
突発的な休みをとっていた。
やむなく、別な店に変更することになった。
中野から近いところとして、
東中野「地熱風」、
阿佐ヶ谷「志の蔵」、
高田馬場「真菜板」といった居酒屋、
それに蕎麦屋の阿佐ヶ谷「みや野」などがすぐに思いついた。
しかし、今回は酒より食事主体と思っていたので、
ちょっと迷っていた。

そうしているうちに、
阿佐ヶ谷「バードランド」に
まだ行ったことが無いことに気がついた。
早速、阿佐ヶ谷に移動し、
以前の銀座に移転する前のバードランドの場所に到着。
ここは、バードランドの移転後には、
チェーンの焼き鳥屋に居抜きで変わっていたが、
そこも撤退をして、和田さんの弟子が支店を構えたのが、2年前。
店構えは昔と全く変わっていない。

午後6時を少し過ぎていた。
店はガラス張りなので、
外から中を見るとまだお客は3分の1も入っていない。
これなら座れそうと入り口をあけようとしたら、
見慣れた顔のご主人から笑顔が返ってきた。
まだまだ、人気店とはなっていないのかと思っていたら、
午後7時頃にはもう満席となる。
昔のバードランドを見ているようだ。

まずは、酒肴として枝豆、砂肝にこごり、
レバパテ、赤ピーマンのサラダなどを取る。
アウグスビールを1杯いただいて、
その後は竹鶴などの日本酒に移行する。
レバパテ、砂肝ともまさにバードランドの味。
レシピを忠実に守っている。
竹鶴の骨太の酸がレバパテの深みのある味とよく合う。
この店も銀座本店と同じで、
ワインを飲んでいる客が圧倒的に多い。
ワインも焼き鳥に合わないわけは無いが、
日本酒のほうがより深く合うので、大変残念なことだ。
そして、焼き鶏に移る。
ハツ、砂肝、皮、つくね、焼きチーズなどなど。
いずれも銀座店と変わらず旨い。
竹鶴と神亀を数種類ずつ飲んで、
奥久慈軍鶏の凝縮した旨みを堪能した。

最後はもちろん親子丼。
鶏のスープを飲みながら食べる親子丼は秀逸。
お勘定をしたところ、
昔の阿佐ヶ谷にあったころのバードランドの値段。
気軽にこれていい店だ。
銀座店と変わらぬ美味しさ。

しかし、店を出るときの満足度がいくらか低い。
何故かと考えたら、和田さんの完璧な仕事の姿勢が蘇ってきた。
店内全ての客の状況を把握しながら焼く串は、
それが提供される順序、
タイミングを見計らってマネージメントされる。
そのような、絶妙さが阿佐ヶ谷バードランドにはまだない。
しかし、これは円熟してこそできる料理人の技。
いずれは、阿佐ヶ谷バードランドも
完璧なサービスの店となることであろう。


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2006年8月10日(木)

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