|  第359回絶品の鱸しゃぶ、鯛しゃぶ
 正月の二日は親戚が集まっての新年会。ここでのメインの食材は村公一さんの鱸と
 築地で仕入れた天然真鯛。
 それぞれ、お造りでまず食べてもらい、
 悦凱陣「興」生酒の新酒とあわせる。
 この酒を選んだ理由は、鳴門と近い琴平の丸尾本店のものであり、
 豪快な旨みにあふれていて
 鱸のしっかりとした甘みによく合うと考えたから。
 また、丸尾社長と村公一さんも仲のいい友達関係。
 そんなわけで合わないわけがない。
 やはり、思惑通りだった。
 そして、村公一さんのサヨリの一夜干しを炙って提供。塩加減が結構旨くいった。
 これは約7%の塩水で25分と書いたが、
 実際には重量を測定したわけではなく、
 塩水を味見して、鳴門の大磯崎の海の塩辛さ程度に調整している。
 香ばしさのなかに旨みがあり、悦凱陣によく合う。
 そして、いよいよ鱸と鯛のしゃぶしゃぶの鍋を準備する。用いる出汁は別なもので、
 それぞれ、鱸のアラと鯛のアラでとったもの。
 3時間ほど煮込んでから、クッキングペーパーで漉している。
 出汁だけ飲んでも大変美味しい。
 鱸には鱸の出汁、鯛には鯛の出汁を用いてシャブシャブの開始。
 これが絶品。
 ささっと出汁のなかに通すだけで、
 鱸は上品だが尖った旨みが加わり、鯛は脂が旨みに変化してくる。
 刺身で食べても旨かったが、
 やはり、熱を加え、出汁の味を加えることで、
 数段旨みがひきたってくる。
 親戚一同、至福の旨さに酔いしれている。
 鍋に入れた白菜、エノキ、椎茸、下仁田葱など野菜も煮込むほど旨くなる。
 特に白菜と下仁田葱は白眉。
 白菜は噛むと鱸や鯛の旨みがじわっと口のなかにあふれてくる。
 下仁田葱は中心の軸のトロトロさに、
 出汁の旨みが溶け込んでいる。
 今年も新年早々至福の美味を堪能した。
 幸先がいい出だしだった。
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