“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第300回
日本の伝統食文化の崩壊

このコラムも今回で300回目を迎えました。
これだけ続いたのも、
読者の皆様の激励によるものと感謝いたします。

日本酒がだんだん復活のきざしを示してきている。
ワンカップ酒が流行っているのは、
その兆候とみていいかどうか分からないが、
居酒屋や酒屋も一時の焼酎主体の店が多かったのが、
日本酒が盛り返しつつある。

最近の日本酒離れの原因として、
美人酒ライターである藤田千恵子さんは、
日本酒と合う家庭料理を作らなくなって、
出来合いのものを安易に食卓にならべる偏った食事のせい
と、憂いている。
たしかに、晩酌をしたくなるような手造り料理がなければ、
日本酒を飲むという発想も少なくなるだろう。
日本酒だけでなく、日本の食文化全体の問題として、
さらに考えないとならないのは、
国内産の食材がどんどん衰退していることだ。
特に、野菜と魚。
スーパーには山ほど野菜と魚は積まれているが、
その産地に行くと将来を心配せざるを得ない状況になっている。

まず、農業だが後継者がいない。
田舎に行くと農家はほとんど高齢者ばかり。
若者は都会に出向いて企業に勤めている。
何故かというと、農業では生活できないからだ。
自給自足という生活は可能だが、他にかかる生活費が稼げない。
子供の教育費、その他の社会生活を送るための費用まで
野菜の売り上げでは賄えない。
それも、海外から安い野菜を輸入するようになってきていて、
高い値段では売れなくなっているからだ。

魚はどうかというと、
昔ながらの自然との共生を考えた漁猟手法をとる漁師が
どんどんと減少している。
残っているのは、大量に根こそぎ魚群を捕獲する
効率のいい漁猟方法だ。
昔の漁師は潮の流れと風を見れば、どこに魚がいるかがわかり、
その漁場で環境が維持できる程度の漁を行っていた。
現在は魚群探知機を使い、大量にマキアミを海に投じて、
誰でも大漁に魚を獲ることができるようになった。
サンマのように一網打尽にする
巻上げ網の漁猟方法も開発されている。

野菜が駄目になり、魚が獲れなくなる日が来る前に、
農業、漁業の将来について真剣に検討しないと、
日本の伝統食文化は崩壊する危機にいま立たされている。


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2005年10月21日(金)

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