第269回
世界一のレストランで驚きの料理を堪能
イタリーはベンエッチアの近くのルバーノという小さな町に
『レ・カランドレ』というレストランがある。
店構えの特徴はあまりなく、
車で脇を通っても見過ごしてしまいそうな店。
しかし、今、料理業界で
第2の『エルブジ』になるのではないかと噂されている。
エルブジといえば、
現在世界一予約がとりにくいレストランと言われている。
話のネタに一度は言ってみようと
欧州海外出張の機会を見つけては訪問することを企画しているが、
確かになかなか予約がとれない。
エルブジの系統の店としては、
一度、マドリッドのカジノにある
フェラン・アドリアの弟子がシェフをやっている
というレストランに行ったことがある。
たしかに美味しかったが、
それほど印象に残らない料理が多かった。
素材のよさを感じさせるような調理法とは違うように感じた。
今回のイタリー出張で、
『レ・カランドレ』にはぜひ行こうと計画し、
2ヶ月前に日本から予約を取っておいた。
こちらは、ウェッブ上で日本語で確認して、予約をとれるので、
大変便利である。
ここの店のシェフのマッシミリアーノ・アライモは
1974年5月6日生まれ。
まだまだ若いが、その天才的な調理には
世界の料理人が注目している。
1990年にピエトロ・ダバノホテル学校を卒業してから、
モエナにあるアルフレッド・キオッティのレストラン
『ヤ・ナバルジュ』に就職。
以来、『オーベルジュ・ド・レリダン』、
『レ・プレ・ドゥジェー』で働き、
1993年からシェフとして『レ・カランドレ』の厨房を支配。
ミシュランギードでは1991年に母親が星を獲得していたが、
1996年に2ツ星、2002年に3ツ星に昇格と、
史上最少年シェフの記録を作る。
ガンベロロッソでも2003年に100点満点中、90点を獲得している。
兄のラファエッレ・アライモが
この店のサービスを仕切っている。
ミラノからルバーノまでは高速道路を利用して2時間半ほど。
車の運転のことがあるので、
併設しているホテルを予約してあった。
ホテル・マッカローニという名前で、
各部屋にはマッカローニを入れた照明器具が置いてあった。
ベネッチアを観光してから、
いよいよ予約した夜の8時に『レ・カランドレ』の扉を開いた。
案内されたのは、大人数用の大テーブルと、
中くらいの円卓がある部屋。
その円卓に同行の4名が席に着く。
かなり広いスペースで、
もう一つの大テーブルとは十分離れているので、
他の客がきても気にはなりそうもない。
立派なお品書きが渡されて、
いよいよ、世界一のレストランの料理を体験するときがきた。
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