|  第257回人知れぬ渓流で美酒・美食に酔いしれる
 レストランに行く一つの目的は、家庭の日常の料理とは違う非日常の体験ということがある。
 それ故、料理屋側も料理の旨さだけではなく、
 インテリアなど非日常の雰囲気をかもしだして、客を呼ぼうとする。
 非日常性ということでは、野外での会食も相当なものだ。花見、紅葉狩りなどの特別な季節での野外での宴会は
 特に食事が楽しくなる。
 その究極に近い状況での美酒・美食を楽しむ会を企画した。
 場所は栃木県の地図にもでていない山道を進んだ渓流の脇。
 周りに人家はなく、たまに釣り客がいくらか訪れるだけ。
 大自然のなかで、一晩過ごして、
 美味しい食材と美味しい酒を堪能しようという会を呼びかけたら、
 大人7名に子供4名の参加者があった。
 まずは、食材の調達と、調理器具や会食設備の準備が重要だ。せっかく、自然の景観のなかで
 美味しい思いをしようと思うのなら、
 食材も最高のものを準備し、調理も万全に、
 そして、食卓設備も十分満足できるものにすることが肝心だ。
 まずは、食材については実施の一月前から検討を始めていた。鳴門の村公一さんの鱸も考えたが、阿波踊りの時季で無理そう。
 また、ここのところ北海道の海の幸にはまっていたので、
 今回も、小樽の三角市場、
 それに、厚岸漁業組合から魚介類を取り寄せることにした。
 小樽からは、八角、帆立、蝦夷鮑、
 厚岸からは牡蠣を仕入れることになった。
 厚岸は夏でも湾の外の冷たい海水を使って、
 牡蠣の産卵時季をずらして、
 美味しく食べられる牡蠣を提供してくれる。
 動物類では、西崎ファームのバルバリー鴨と合鴨燻製を取り寄せることになった。
 せっかく、渓流沿いで宴会をするので、
 川魚、それも、できれば現地で釣りをして、
 岩魚を食材として準備したいという思いはあったが、
 釣れるかどうかは当日の運不運がある。
 そこで、とりあえず天然鮎は準備しておいて、
 岩魚が釣れたら、それも食材にしようということになった。
 そして、野菜は途中で買っていくということに。
 十分な準備をして、いよいよ当日を迎えることになった。栃木県西那須野の蕎麦屋『胡桃亭』に、お昼に集合。
 全員が揃い、ヒミツの渓流に向けて出発した。
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