|  第190回蕎麦の契約栽培
 昨年は蕎麦栽培の仲間が随分増えて、しかも、天候が悪かったので収穫量が激減。
 一人当たりの配分が少なかった。
 栽培面積を増やして生産量を多くすることも考えられるが、
 刈り取りの大変さを思うとそうもいかない。
 そこで、契約栽培で、
 我々と同じような手間隙かけた栽培をしてくれる
 農家を探すことを企画した。
 栽培場所は、以前自家栽培で畑を借りていた、栃木県の馬頭町を選択。
 蕎麦の名産地として名高い。
 ここで、知り合いの農家の方にお願いして、
 契約栽培をしてくれる農家を探してもらうことになった。
 馬頭町も最近は農家を継いでいる若者が少なく、
 畑は有効活用されていないことが多い。
 蕎麦栽培も衰退ぎみだ。
 知り合いの農家の方の自宅に車で迎えに行って、契約栽培してくれる可能性のありそうな農家を一緒に回ってみた。
 都会と違って、面識の無い家でも
 訪問するとすぐに親しく話しができる。
 人口が1万人程度の小さい町なので、
 どこそこの誰と名乗れば、大抵は検討がつくようだ。
 そこで、2軒目に訪問した農家が、
 即座に契約栽培を了承してくれた。
 丘の中腹に畑があり、昨年までは別な農家に野菜の栽培で貸していた。
 有機栽培を数年間していたという条件はまさにぴったりだった。
 1俵いくらという契約をしてもいいと思っていたが、
 栽培農家の方から
 作業に要する労働力の手当てだけもらえばいい、
 収穫した蕎麦は全部くれるという、
 とてもいい条件の申し出があった。
 我々が出来る限り自分達で栽培をして、労働力が不足する部分を農家にお願いする、
 という我々にとって理想の条件であった。
 農家の側としては、
 畑を遊ばせておくと荒れて使い物にならなくなるので、
 只でも使ってもらいたいとのことだった。
 契約栽培が無事にできることになった。
 交渉が完了してから、同行していただいた農家の方に、
 馬頭で一番という蕎麦屋でご馳走にまでなった。
 「霧が岳」という、
 馬頭で最良の蕎麦がとれる地域が丘の上にあるが、
 そこに忽然と丸太小屋がたたずんでいる。
 「蕎麦道場」という名前の蕎麦屋で蕎麦打ち体験もできるようだ。
 でてきた蕎麦は田舎風の太さの揃わないもの、
 つなぎも結構多い感じではあったが、
 蕎麦の味わいは本当に美味しいものだった。
 やはり、蕎麦切りは原材料のよさが一番影響する。
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