| 第70回牡蠣の美味しい料理は何か?
 牡蠣は和食、フレンチ、中華など様々な分野で色々な調理法がある。
 素材が美味しければ、どの調理法も美味しいが、
 素材の味を一番引き出すのは、単純な焼き牡蠣だろう。
 殻ごと焼いてレモンか酢橘をかけて食べると
 牡蠣の濃い味をダイレクトに味わえる。
 焼くときにゴルゴンゾーラなどのチーズを和えておくなどの
 バリエーションも楽しめる。
 生牡蠣は牡蠣の臭みがいくらか気になるが、霜降りにして食べると、この臭みが消える。
 霜降りとは熱湯に食材を湯通しして、
 すぐに氷水につける下ごしらえのことだ。
 この作業によって、生臭みが消えるばかりか、
 牡蠣の甘みが引き出せる。
 単純に生で食べるよりは数倍旨くなるので、
 ぜひお試しいただきたい。
 蕎麦の種物で牡蠣南蛮というのが、冬季には食べられるが、出汁と牡蠣という組み合わせもよく合うものだ。
 出汁と牡蠣を単純に合わせる趣旨で、牡蠣のすり流しも旨い。
 牡蠣をおろし金ですって、
 昆布と鰹節の淡めの椀出汁と合わせればできあがる。
 さらに凝るなら、出汁を牡蠣でとり、
 そこに霜降りの牡蠣をすったものを流し込み、
 さらに、霜降りの牡蠣の身を入れる。
 味付けは淡めに薄口醤油と味醂をわずかに入れる。
 柚子皮をちらして、美味しい牡蠣のすり流しが完成する。
 出汁をとった牡蠣は旨みが無くなっているので使わない。
 牡蠣にはどんな酒が合うかというと、芳醇な日本酒がいい。
 白ワイン、シャンパンもいいが、
 牡蠣の独特の香味には日本酒を合わせると旨みが増す。
 できれば複雑味のある日本酒を合わせたい。
 私は能登の地酒の宗玄や、姫路の地酒の奥播磨などの燗を
 牡蠣に合わせるのが好きだ。
 これからどんどん牡蠣が旨くなってくる。
 牡蠣は剥くのが面倒ではあるが、
 その作業の努力分だけの美味しさを得られる。
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