第68回
生牡蠣より加熱用牡蠣のほうが旨い
冬は牡蠣が旨い。
牡蠣といえば、まず生牡蠣が思い浮かぶ人が多いだろう。
最近は生牡蠣用の牡蠣は
デパート、スーパーなどでも売られていて、
一般家庭でも生牡蠣を容易に食べられるようになっている。
さて、家庭で牡蠣鍋でもしようと
スーパーやデパートの魚売り場を訪れたとする。
生牡蠣用の牡蠣と加熱用の牡蠣があったときに、
どちらを選択するか?
多くの食いしん坊は生牡蠣のほうが新鮮と考えて、
生牡蠣を買うのではないか。
これは大きな誤りだ。
生牡蠣用の牡蠣よりは加熱用の牡蠣のほうが美味しい。
生牡蠣用の牡蠣と加熱用の牡蠣の違いは何かというと、
新鮮さではない。
生牡蠣用の牡蠣は養殖して最後に出荷するときに、
特別な処理をしているのだ。
現在、一番多く行われている生牡蠣用牡蠣の加工処理方法は、
紫外線で殺菌した水のなかに牡蠣をつけておく手法だ。
牡蠣は水をものすごい勢いで交換するので、
いままで蓄えてきた体内の水分が
殺菌されたものに交換されていく。
これによって、牡蠣はきれいにはなっていくが、
旨みもいくらか外に出てしまう。
これに対して加熱用の牡蠣は出荷時にこのような処理をしない。
旨みも逃げていない。
従って、加熱調理をする場合には
加熱用の牡蠣を使うほうが、断然旨いのである。
これは、結構多くの人が誤解している。
メディアによくでてきて有名な、
東京農業大学の小泉先生でさえ、
新聞の連載で牡蠣鍋に生牡蠣を使っていると自慢をしていた。
本当は生牡蠣でも加熱用の牡蠣を使うと
とても美味しいらしい。
しかし、これはとてもリスクが大きい。
牡蠣の食中毒は結構つらい。
そもそも、私は生牡蠣よりは
火を通した牡蠣のほうが好きなので、
このようなリスクを犯そうとは考えたことはない。
牡蠣は美味しいが故に罪な食材なのだ。
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