| 第6回最高の食材の仕入れ
 dancyu誌の7月号の取材に協力した。この号は築地特集であったが、
 そこで素人が場内に仕入れに行って、
 料理を仲間に振舞うという役を、
 他に引き受け手がいなくて依頼されたのだ。
 最近では築地場内は
 素人にも魚を売ってくれる仲買が多くなっているが、
 その点を配慮した記事である。
 築地場内へは以前から魚介類の仕入れに行っていたが、築地のいいところは魚が安いことではなく、
 通常の小売店やデパートには出回らない魚が
 いい状態で入手可能なところである。
 例えば、高級鮨屋や高級割烹で提供される
 天然の鯛、平目、星鰈、鱸、アオリ烏賊、
 墨烏賊、甘鯛、オコゼなどなど、本当にいいものが入手できる。
 最近では、産地から直接取り寄せることも多くなってきて、
 築地から少し足が遠のいてはいるが、
 何かの宴を開催するときには築地に行けば間違いはない。
 さて、dancyu誌の取材であるが、せっかく雑誌で紹介されるので、最高の食材を仕入れて、最高の味を提供する
 というシナリオを検討した。
 7月号ということで、夏が旬の魚として、
 まずは白身のものを鱸か鰈にしようと考える。
 本当は星鰈がいいと思っていたのだが、売り切れ。
 結局、真子鰈を仕入れた。
 星鰈はもちっとした決め細やかな肉質なので、
 薄造りにも向いている。
 また、比較的大きいので、
 十名程度の大人数向けの料理でも一匹裁けば十分で、
 手間がかからない。
 これに対して、仕入れた真子は小さめで何匹か裁くことになり、さらに、真子の鱗はプロでも引きにくいので、
 裁くのが結構大変であった。
 しかし、昆布〆にした造りは最高に美味であり、
 お客にも、取材陣にも大好評であった。
 魚はそのまま切って刺身にしても美味しいが、
 昆布〆にしたりして一工夫すると最高の味になるものだ。
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