第82回
『太極導引』鍛錬の難と易 その三

前の2回で
『太極導引』鍛錬の難易両面について分析してみました。
もちろん個人差があるので、
私の観点とは違う見解をもつ経験者もいると思います。
しかしその違いとは、
難しいところ或いは易しいところについての認識の違いであって、
難易があることについては間違いないだろうと思っています。
何故なら、どんな事にも難易両面があることは自然な規律、
すなわち「陰陽対立」と「陰陽互根」であります。

『太極導引』鍛錬を行うことは、
実は陰陽両面のバランスを良くする健康法でもあるので、
当然「難」と「易」のバランスも良くします。
しかし、ここでいうバランスとは
単に50%対50%というバランスの両分法ではありません。
鍛錬の進度と深度によって
「難」と「易」の割合が変化して行くことをいっているのです。

初心者の段階では、
『太極導引』鍛錬のポイントと身体の動きのコツである
「松」「静」「自然」を掴むことは
誰にとっても易々とできることではありません。
“あ、こうだ”というポイントとコツを理解した段階で
実際に様々な動作に応用してみると、
“え?”と思うような、新たな難しい点に遭遇すると思います。
そしてまた、1回の連続練習の時間も
はじめの頃は10分ぐらい経つと身体が疲れていたのに
段々20〜30分間やっても筋肉反応(痛み)が出てこなくなる
というような変化もあります。

というようなことからも、『太極導引』鍛錬には
世の中の全ての物事と同じく難易の両面があるといえます。
やればやるほど難しいことが易しくなります。
逆に簡単そうな動きでもなかなか出来ないこともあります。
いずれにしても、これは健康づくりの方法ですから、
まずは堅持することが大事です。
難易を重視する必要性はないと思います。


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