第79回
『太極導引』の円 その三

『太極導引』鍛錬の「円」運動について
前の2回では
円形や回転や螺旋という三つの円運動の紹介をしてきましたが、
これら三つの円運動は外見的な肢体動作です。
実はこの他にも、外見からでは分からない「円」運動を
肢体運動と同時に行っているのです。
その運動形式とは脳内のイメージ運動のことで、
意識導引と言います。

この「円」のイメージ運動(意識導引)とは
自分の身体を“円球”にするというイメージを想像することです。
つまり自分の身体の形を丸くしていって
気で構成されたボールをイメージするのです。

たとえば風船は、中身が空気で皮はゴム質のものですが、
『太極導引』の鍛錬である意識導引の場合にも
自分の身体が風船と同じように膨らんでいって、
ボールのようなまるい形となるようにイメージします。
ただ風船と違うところは、
皮も空気質のイメージにするところで、
そうして気だけでできているボールをイメージします。

このような「円」のイメージ運動(意識導引)をすることは、
まず、体内の空間を広げるようにしますので
気血の流れを良くすることに関して心理面でも役立ちます。
つぎにボールの形にイメージすることで
外形の肢体運動がスムースに流れることにも役立ちます。
それから、『太極導引』鍛錬の
「不用力」という基本を実行することにも役立ちます。


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