第66回
精気神と経絡

中医学の独特な人体構造として
「経絡」というシステムがあります。
経絡の臨床治療効能については
既に認められましたが、
経絡そのものの研究は
何らかの結論が出たというような段階には
まだまだ到達していません。

その理由は、
経絡が直感的なものではないからだろうと思います。
物理的な経絡の位置、形態、
長さ、太さなどの記述は
存在していないのです。

中医学における「経絡」とは、
「経脈」と「絡脈」の略称で、
生命活動の基礎物質である
「気血」が流れる通路であります。
これらは全身くまなく上下左右にと
綱の目のように分布しています。
体内で臓腑を繋ぎ、
体表で皮膚筋肉を連接します。

経脈は、主幹の道として体を上下直行し、
臓腑の間及び臓腑と体表の間を繋ぎます。
臓腑に属する「正経」と、
臓腑に繋がらずに経脈を司る
「奇経」との二つがあります。
 
正経は全部で十二本あり、腕部と足部に6本ずつあります。

腕部: 手太陰肺経
手少陰心経
手厥陰心包経
手陽明大腸経
手太陽小腸経
手少陽三焦経
     
足部: 足太陰脾経
足少陰腎経
足厥陰肝経
足陽明胃経
足太陽膀胱経
足少陽胆経

奇経は全部で八本あります。
督脈・任脈・帯脈・冲脈・陽
脈・陽維脈・陰維脈

絡脈は、経脈の分枝として左右に横行し、
経脈の間を繋ぎます。
別絡・浮絡・孫絡の三種があります。

また、経絡システムの中には
経脈と絡脈以外にも、
筋肉関節に繋がる「経筋」と体表を走っている「
皮部」という小さい経絡があります。

養生とは精気神を整え体の健康を維持することです。
気と血(精)を全身に巡らせる状態に関連する
経絡システムを調整することは、
養生における「調身」の内容になります。
養生方法の一種である導引について、
その練習目的が気(血)を和みの状態にし、
体を柔らかくすることにあると前述しましたが、
ここでいう体とは関節筋肉と経絡を中心としています。


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