新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第77回
儲けたいという気持ち

ここ最近、
中国製品の品質を疑問視するニュースで世界は賑わっています。
グローバル化にともない、
産業界が中国を中心とした構図へ変わることへの不快感から、
世界中がこの手のニュースを好むという傾向はあるでしょう。
しかし、流されるニュースのあまりの酷さに
「一体この国は何なんだ!」
と多くの方は思っているはずです。

実際、多くの中国人もこのような
“儲けるためなら何でもアリ!”
という今の中国社会に失望しています。
しかし、擁護するつもりは毛頭ありませんが、
中国人が不正に走る理由ははっきりしています。
何千年もの間、階級社会がはびこり
常に飢えに苦しんできた人々の欲求の叫び声なのです。
中国全土、欲求の塊です。
目にも見えますし、耳にも聞こえます。
匂いさえしてきそうな程、
それこそ凄まじい欲求のパワーです。
よく“ハングリー精神”という言葉を耳にしますが、
そんな生易しいものではありません。
自分が殺らなければ自分が殺られる
といった発想に近いものがあります。

このような状況で、日本人や欧米人が考えるような
常識や道徳がまかり通るはずがありません。
他人に道を譲っている時間も余裕もありませんし、
そもそも1元にもならない感謝の気持ちなんていらないのです。
そんなものは、豊かになった後ではじめて湧く発想です。

当社で仕入れる原材料の中にも、
時々偽物が送り込まれることがあります。
杏仁の粉に米の粉が混ざっていたこともあれば、
ココアにおいては缶は注文した某有名メーカーの物なのですが、
中味が全くの別物だったこともあります。
これが怪しげな市場などで買ったものであれば、
まだ安物買いの銭失いと言われてもおかしくありませんが、
偽物のほとんどは大手問屋のもので、
時にはメーカーから直接仕入れたものまである始末です。
我々は日本の出資企業の協力を得て、
技術スタッフの検査により事前に発見できていますが、
もし気が付かなければと思うとゾッとしますし、
怒りもこみ上げてきます。

大手問屋やメーカーに強烈にクレームを入れても、
大体は
「ドライバー単独の不正行為であり、
そのドライバーは解雇しました」
という回答や
「二次問屋へ発送依頼をしていたのだが、
この二次問屋がやったことでしょう。
この二次問屋との契約を打ち切ります」
といって一方的に事件は解決されてしまいます。
「モノは試しに送ってみよう!
相手が気付かなければ万々歳、
気が付いたらあの手をつかって言い訳しよう」
と初めから仕組まれていたようにしか思えません。

これもすべて“もっと儲けたい!”
という欲望を抑えることができないが故に起こる事件です。人
間の欲望・欲求は本当に底なし沼ですね。


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2007年8月23日(木)

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