新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第41回
会社に人が多い訳

中国で働くと
「なんでこんなに従業員が多いんだ!?」
と思うはずです。
私も赴任時に真っ先に感じたのが、
この“従業員の多さ”です。
当然ながら、利益を出す為には
“売上を上げる。経費を下げる。”
この2つの方法しかありません。
手っ取り早いのは経費の削減です。
そうなると日毎に目についてくるのが、
各スタッフの業務内容です。

従業員の鍛錬度やお国柄等を考慮しても、
やはり多いという結論に達します。
しかし、思惑通りに調整できる部門もあるのですが、
大方の部署は意外と調整がつかないのです。
なぜなのか?
理由は業種によっても異なるとは思いますが、
小売やサービス業では大きく分けると
以下の2つの理由になります。

1つ目は大方の想像通り、
作業の不効率や従業員のスキルの低さです。
この点については、作業効率の見直しや社員教育によって、
少しずつですが克服できる可能性が高いですし、
また取り組むべき課題です。
問題は2つ目の理由です。
例えば、仕入が発生する企業の殆どに
“倉庫番”という名目の専任者がいます。
私も当初は、この“倉庫番”が
無駄に見えて仕方がありませんでした。
仕事といえば、時折届く品物を検品して倉庫に保管したり、
必要になった時に倉庫から出してもらうぐらいです。
こんなこと、時間のあるスタッフがやれば良い話であって、
何も専任で人を配置するのはバカバカしいと誰でも思うはずです。

しかし、それにもちゃんと理由があるのです。
購入者が仕入先と結託して空取引をしようとしても、
倉庫番の入庫確認のサインが無ければ財務は支払いをしません。
また、入庫の際は倉庫番の他にも
荷受担当者が立ち会って
伝票と商品をチェックするという徹底ぶりです。
そうです。
社員の不正を防ぐ為に、多くのスタッフを抱えているのです。

財務も会社の規模以上に多く抱えている
中国企業をよく見かけますが、
これも担当者1人では、何も不正ができない仕組みを作る為です。
これはレストランでもそうです。
小さい店なのに、
わざわざレジだけを担当する店員を置いているところも
少なくありません。
お金を盗られたのは、
対策を講じなかった会社にも責任があることは当然ですが、
その度合いが中国ではより高いようです。
盗られる方が悪いのです。


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2007年5月31日(木)

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